商標の譲渡を受けた後に、第三者に二重譲渡される危険はありますか。
民法上、不動産については二重譲渡の可能性が存在しています。不動産の譲渡は意思表示だけで行うことができ、二者以上に対して不動産の譲渡を行った場合には、最初に登記の移転を受けた者が所有権を確定的に取得できるという仕組みになっています。 これに対して、商標の場合は、民法上の不動産について問題となるような二重譲渡は発生しません。商標法上、商標権の譲渡は登録されて始めて効力を生じます。譲渡が二重に登録されることはありませんから、有効に譲渡を受けることができるのは一の当事者のみと言うことになります。 もっとも商標の譲渡契約後、移転登録前に、第三者に別途移転する契約がなされ、第三者への移転登録が先に行われると、その第三者が商標権を取得することになります。この意味では、民法上の不動産の権利関係と類似していると言うこともできるでしょう。