GPLが適用されたソフトウェアを、自社の業務に適合させるため、若干修正の上利用しようと考えています。この場合でも改変後のソースコードを公開する必要はありますか?
著作権者には同一性保持権という権利があります(著作権法第20条1項)。これは著作物を勝手に改変するなと要求できる権利です。もっとも同条2項には、同一性保持権を行使できない場合が規定されています。その中で同項3号は次のように規定しています。 「特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変」 つまり、いわゆる移植(ポーティング)のためのプログラム改変や、バージョンアップ、バグ修正のためのプログラム改変に対しては、著作権者は同一性保持権を行使できないということになります。 そうすると、これらの行為を行うために、そもそも著作権者の許諾(ライセンス)を受けている必要は無いわけです。そしてGPLが適用されたソフトウェアについては、単に使用するだけであればもともとライセンスを受諾する必要がありません。 結果、GPLが適用されたソフトウェアを企業内部で使用し、内部での目的のためにのみ改変するのであれば、GPLを受諾する必要が無く、当然、GPL上の義務であるソースコード公開等の義務を負わなくてもよいことになります。 もっともソフトウェアを使用する際にはインストール、つまり複製することになりますが、改変したソフトウェアの利用のための複製行為については、GPLは何も言及していません。そのため、法的な権利の安定性には若干不安が残るところです。