公開されている個人情報の取り扱いについて:公の情報も個人情報に該当するのか

商業登記簿や特許公報には代表者や出願人の個人情報が掲載されており、一般的に公開されているかと思います。このような情報も法律上保護されるのでしょうか。

一般に、個人情報の取り扱いにあたっては、個人情報保護法とプライバシー権に配慮する必要があります。まず個人情報保護法については、法律の対象となる個人情報について、第2条1項により、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる 氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と定義しており、公開済の情報か否かを問うていません。そのため、たとえ公開情報であっても、個人情報保護法における「個人情報」には該当することになります。なお個人情報保護法においては「個人情報」に該当したことにより発生する義務は、利用目的の特定・これによる制限(15・16条)、適正取得(17条)、取得の際の利用目的の通知(18条)程度です。個人情報がデータベース化され、「個人データ」(2条2項)となったときには、正確性の確保(19条)、安全管理措置(20条)、従業者の監督(21条)、委託先の監督(22条)、第三者提供の制限(24条)などが義務として追加されることになります。一方、プライバシー権については、裁判先例上は、プライバシー権が発生するのは、非公開情報のみとされています。そのため既に公的に公開されている個人情報を取り扱う場合には、よっぽどのことが無い限りは、プライバシー権を侵害したと言うことにはならないでしょう。

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