公共の場所での氏名の読み上げ:他人に聞こえる形で呼び出してよいのか

銀行の窓口や病院の待合いで、顧客や患者の名前を読み上げて呼び出すことは個人情報の漏洩にあたりますか?

まず個人情報保護法上の問題としては、同法に違反したこととはならないと思われます。単なる名前の読み上げがあった場合に、その場にいる第三者が受け取ることのできる情報はまさに名前の音のみです。通常は名前の音のみであれば、特定の個人を識別することは通常不可能です。そのためこの場合の名前は、同法の個人情報には該当しません(ただし珍しいお名前の場合には注意が必要でしょう。また詳細な理由は不明ですが経済産業省ガイドラインでは氏名が個人情報に該当すると例示しています。)。また仮に個人情報に該当するとしても、「名前を呼んでカウンターまで来てもらうこと」については、通常、本人も同意していることから、同法23条の第三者提供の同意があったと考えることもできるでしょう。次にプライバシーの問題ですが、現状では、非公知性や、センシティブ性が無いという理由で、プライバシーを侵害してはいないという結論になるでしょう。もっとも今後の権利意識の高まりを受けて、プライバシーの問題になっている可能性が無いわけではありません。  ただし道義的配慮の問題として、名前を直接呼ばなくてもよい措置を取ること自体は望ましいものと評価されていくことになるでしょう。

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