読書記録・レビュー:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2024年 3月号 特集「生成AI 戦略と実行」

生成AIの潜在力を最大限に引き出す法
→ちょっと月並み感がある内容。件名負けしている気がします。細かい事例は国内ではあまり見ないものが多いので興味を持てたけれどもそれだけ。

従業員が生成AIを活用するために企業は何をすべきか
→「人々がデジタルツールをどう使うかを、完全に予測あるいは制御することはできない」という切り出しは、AIシステムと人間の関係をよく捉えているのでよいワードだと思った。AIが何をできるかを職務単位では無く職務を構成するタスク単一で見ていくという発想は「責任あるAI」(古川)と共通。筆者が提示するSTEPという導入プロセスは具体的であり、有用性が高いと思う。これを見ていると、日本は労働生産性において更にアメリカにおいて行かれるのではという危惧を感じるぐらい。「AIだからこそ従業員に任せる」という判断は、リスクに対して保守的な日本企業では困難そうなアプローチ。

AIプロジェクトを軌道に乗せる5つのステップ
→性能と倫理のトレードオフということをはっきり言っているところに好感がもてる。「Aiは継続的改善で初めてものになる」は月並みでも重要。「ユーザーがAiを信用できる場合に導入が成功する」は「あー、そやね」という感じ。

生成AIの戦略的な活用で競争力を高める
→話しとしてはわかるけれども、これはDX一般の話でAIにフォーカスしていないのではという印象が多少。ただ4つの視点を5つの質問で確認するという視点は明快で、活用しやすいと思う。

自社の戦略に生成AIを組み込む方法
→AIの導入水準を3段階で分けるという発想。これを読んでから先程の「AIプロジェクトを軌道に乗せる5つのステップ」を読むのが良いのではないかと思う。これはレベル3なので。レベル3に進むためのチェックリストは当たり前の話ではあるけれども、再認識させてくれるものとしてよい指摘。

シチズンデベロッパーを企業でどう活かすか
→「シチズンデベロッパー」という用語を初めて知った。「以前会社にいたVBAに詳しい人が作ったマクロ付きのエクセルシートで回っている業務」という話が日本ではありがちだと思うけれども、そのAI進化形の話。この文書での「シチズン」は「IT専門家では無い自社従業員」を想定していて、日本の「ノーコード・ローコード」ブームに近いところでの議論。興味深いけれども、従業員全体のリタレシーが高い企業を想定している感あり。

人間の欲望と道具が共進化する時代は終わりを迎えつつある
→前半は日本を代表するデザイナーである原氏によるAI評。好意的且つ客観的に生成AIを受け入れているように読める。後半は自分には理解がむずかしかった。芸術家さんの感性から生まれるものは自分の解釈が追いつかないことが多々あり、これも同様。

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