小会社の監査役について、その権限の範囲を拡張して、取締役の業務執行の監査権限や、取締役会への出席権を認めることは可能でしょうか?
確立された見解は見あたりませんが、監査役制度の趣旨及び監査特例法が制定された経緯に鑑みれば、監査役の権限をそのように拡張することは可能と思われます。具体的には、取締役会規則または定款において、取締役会は監査役にも招集通知を発送の上で開催しなければならず、監査役より取締役会への出席の要求を受けた場合にはこれを認めなければならないこと、取締役は監査役による業務執行の監査に服すること、そして、監査役に監査義務を負わせるのであれば、定款又は会社と監査役との委任契約書内に、監査役は業務執行についても監査を行わなければならないこと、可能な限り取締役会に出席しなければならないことを規定することにより実現可能でしょう。なお小会社の監査役が取締役会に出席できることについては、「実務相談株式会社法」(商事法務研究会)にも同旨の記載があります。