LLPやLLC等、経営者の責任を有限にできる組織が増えてきましたが、経営者は、わざと悪いことをしたり、会社運営の失敗について大きな過失があるような場合でも、責任を負わないのでしょうか。負うとすれば、責任の重さについて、株式会社、LLP、LLCで差はありますか?
株式会社、有限会社、LLC(合同会社 「有限責任会社」と呼ばれることもあります)、LLP(有限責任事業組合)は有限責任の事業体です。ここでいう有限責任とは、会社又は組合が取引上負った債務について、取締役、業務執行社員などの経営者や、株主などの出資者が責任を負わないということを意味します。 一方、経営者の職務に起因して第三者が損害を被った場合で、経営者の職務執行にあたり、悪意または重大な過失があった場合には、経営者はかかる第三者の損害を賠償しなければなりません。この責任の内容は、改正前の会社法(商法)及び新会社法上の株式会社、合同会社、有限会社いずれでも同じであり、責任の発生条件に差はありません。
旧会社法(商法)上の株式会社の取締役第二百六十六条ノ三 取締役ガ其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
新会社法上の株式会社の役員等第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
新会社法上の合資・合同会社の有限責任社員 (業務を執行する有限責任社員の第三者に対する損害賠償責任)第五百九十七条 業務を執行する有限責任社員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該有限責任社員は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
有限会社の取締役第三十条ノ三 取締役ガ其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ